2019年12月に閣議決定された税制改正大綱が2020年度に可決し、施行されました。
これにより「国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例」が新設され、
海外にある不動産を利用した所得税を軽減する節税スキームが一部使えなくなります。
アメリカ不動産に限らず海外不動産を所有している方は、この改正を受けて、
当初の予定通りとはいかなくなったため「今後どのような対策や見直しをしていったらいいのか?」
などのご不安の声が多く、お問い合わせなどもいただいております。
これを踏まえて
「税制改正後のアメリカ不動産投資はどう変わるのか」という事も考えながら、
アメリカ不動産の出口戦略の重要性が伝わればと思い、
出口戦略についてお伝えしていきたいと思います。
税制改正後の出口戦略ポイント1:早々に売却
まず知っておきたいのは、
売却を検討されている不動産投資家の方が増えてきているという事です。
当初、投資シミュレーションをしてアメリカ不動産を購入をしていると思いますが、
税制改正により投資プランが変わってしまったという方も
いらっしゃるのではないかと思います。
今回の税制改正では、
2021年分の所得税(2022年以降の確定申告から)から適用されます。
これまでは多少、物件が値下がりしたとしても節税などで挽回が出来ていたりなど、
ほぼ納得のできる数字で将来の予測をしていたと思います。
しかし、今回の税制改正を踏まえると、
早々に売却を検討される方が出てくるのではないかと思います。
税制改正後の出口戦略ポイント2:一定期間保有し売却のタイミングを狙う
株式に比べると手堅いという印象もある不動産投資ですが、
住居としての需要がなくなるという事はないので、条件によっては一定期間保有をして、
売却のタイミングを見極めるという事も出口戦略のポイントになります。
一定期間といわれても、それはとはどれくらいの期間なのかということですが、
おそらく当初は皆様は4年〜6年でスピード償却をするイメージで考えて
シミュレーションをしていたのではないかと思います。
これを6年〜8年間保有してみて市場の状況に合わせて売るという事も
出口戦略の1つになるのではないかと思います。
物件のリース期間中にオーナーが売却する場合などについて、
賃貸借契約書にどのような条項があるのかなども確認をしておきましょう。
売却を検討していくならばリースの更新時に条項を付け加える必要も出てくるかもしれません。
税制改正後の出口戦略ポイント3:個人名義から法人名義へ変更
一方で法人ならば、どうなるでしょうか。
個人で所有している不動産を、自身が経営している法人へ所有権を移転させ
アメリカ不動産を法人で所有する場合などです。
今回の税制改正の「国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例」は
個人が対象で法人は規制から外れているため、従来通りに損益通算ができます。
〔新設〕
国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例を次のとおり創設する。
(1)個人が、令和3年以後の各年において、国外中古建物から生ずる
不動産所得を有する場合において
その年分の不動産所得の金額の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、
その国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、
所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなす。
通常の売却とは異なり、買い手を探すという必要もなく
個人で所有している不動産を法人に売却する事で、
個人名義から法人名義へ名義変更をしていきます。
様々な理由などから名義変更をされる方はいらっしゃるのですが、
主には節税のために名義変更をというケースが多いように感じます。
これも1つの出口戦略といえるのではないでしょうか。
法人の形態が不動産管理会社であったり、
不動産売却以外の方法で名義変更をするなども考えられますが、
手続きや必要書類なども必要になりますので所有権の移転(主に売却)によって
名義変更をするのが一般的ではないかと思います。
税制改正後のアメリカ不動産投資のまとめ
今回は、2020年の税制改正を受けて、
税制改正後のアメリカ不動産投資はどう変わるのかという事を考えながら、
出口戦略としてのポイントをまとめました。
- 早々に売却を検討する
- 売却はせずに一定期間保有する
- 個人から法人に名義を変える
不動産投資を行うときは、出口戦略についても考慮しなければなりません。
居住する目的ではなく投資として不動産を購入しているときは、
物件を持ち続けているのが得策とはいえない事もあります。
ある程度のキャッシュを確保できるところで売却し、
タイミングをみてさらに良い物件に投資するという事もできます。
購入時の不動産投資のシミュレーションでは、
税金なども含めてコントロールをしてきたと思いますが、
定期的に見直しながら数字を比較してできる限りリスクを避けていただければと思います。
私のこれまでの知識や経験、考え方などをお伝えしていますが、
不動産投資や税金などで少しでもリスクを避け、
リターンを得る方が増えていく事をいつも祈っています。
これからもアメリカやアメリカ不動産、税金などの情報を発信していきます。