多くの方にとってアメリカ不動産の売却は初めてで、
どのように出口戦略をたてていけばよいのかが分からずに、
不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
不動産会社が説明してくれる場合もありますが、税金や会計などの視点から、
また全体像としてポイントをおさえておくことで不安の解消にもつながります。
前回は「アメリカ不動産の出口戦略〜個人編」のポイントをご紹介しましたが、
今回は「法人編」です。もちろん共通する部分もありますが、
アメリカ不動産を個人で所有している方と、
法人で所有している方の出口戦略のポイントを比較してみるのもおすすめです。
買替、売却、名義変更の比較検討:ポイント1
まず、出口戦略を考えたら、
不動産の買替、売却、名義変更の比較検討をしましょう。
不動産投資の出口戦略というのは、
所有しているアメリカ不動産をどのように売却するのかという戦略のようなものです。
たとえば、
法人でアメリカ不動産を所有している場合には、以下のような売却の方法があります。
- 不動産を所有している法人が、単に不動産を売却する→売却
- 不動産を所有している法人が、別の不動産を買うために売却する→買替
- 不動産を法人で所有し、グループ内の別会社に売却する→名義変更
- 不動産を法人で所有し、社長個人の名義に変更する→名義変更
単に不動産を売却するだけではなく、
別の不動産を購入するために売却する方法もあります。
グループ内の別会社に売却するには、名義変更を行いますが、
税務的には売買という扱いになり、
また、法人名義の不動産を社長個人への名義変更を行うというのも出口戦略の一つです。
どれが一番よいのかは、投資家の方の資産状況や税金などのタイミングなど、
多くの要素があるので、相談をしてみるのがおすすめです。
それぞれのメリット、デメリットなどを検討しておきたいという方は、
弊社にご相談いただくことで、
売却のタイミングについてご案内できると思います。
物件によっても異なるので、事前にタイミングを調べることは必要です。
為替差損の確認:ポイント2
これは個人でも法人でも共通するのですが、為替差損についてです。
法人が確定申告をする際には決算書を作成します。
法人が日本円で融資を受けて、ドルに変えてアメリカで不動産を購入し、
不動産を売却するに際には、
融資の契約締結時と不動産の売却時の為替に差損があるのか、会計上で計算をします。
そのため、円高で日本円を融資し、
円安で不動産を売ることになったときには、
法人のアメリカでの確定申告における決算書では、為替差損を認識します。
そこで為替差益がでるかでないか、場合によっては
キャピタルゲインと同じぐらいの利益がでてしまうということもあり得ます。
不動産の売却での値下がりや値上がりに気を取られがちですが、
会計上でも為替の影響を受けることになり、税金にも差がでてきます。
米国支店の閉鎖:ポイント3
不動産の売却に伴って米国支店の閉鎖手続きが発生します。
法人所有のアメリカ不動産を第三者に売却し、
他にアメリカに不動産を所有しておらず、
将来も所有する予定がない場合には、
売却後にはアメリカ支店の精算(クローズ)の手続きが必要になります。
不動産売却後でもアメリカに支店登記をしていると、
アメリカで確定申告をすることになるので、
不動産売却をしたら支店の閉鎖登記をしておくようにしましょう。
まとめ
アメリカ不動産の出口戦略については、事前に検討をしておく必要があります。
しかし、売却方法、為替、などによって費用が増加する場合もあるので注意が必要です。
アメリカ不動産の出口戦略(法人で投資する場合)
・買い替え、売却、名義変更の比較検討をする
→メリット、デメリットなどを比較する
・為替の確認をする
→日本円で融資をひいている方は融資契約時と売却時を計算する
・米国支店を閉鎖する
→支店の精算手続きを忘れない
アメリカ不動産の出口戦略は難しいと感じることも多いでしょう。
そのため不動産会社や税務の専門家などに、事前に相談するのが一般的です。
より満足度の高い取引につながるように、
できれば購入時から、出口戦略について考えておくとよいでしょう。