アメリカ不動産投資に関心がある方は、節税にフォーカスしがちです。
不動産を活用した節税対策などは、よく利用されるのですが
この節税対策の一つでもある減価償却にとらわれてしまう事で、
かえって損をしてしまうというケースがあります。
私はアメリカの確定申告のサポートをしているので、
節税などに関心を持って頂けるのはとても嬉しいのですが、
この償却を気にしすぎてしまう方が多いという印象を受けます。
先日、
「失敗した事例などを知りたい」
「償却についてのテーマを取り上げて欲しい」
というご意見が寄せられました。
失敗事例から学べる事は多くありますし、皆さまが関心のあるテーマだと思いますので、
今日はこのテーマでお伝えしていきます。
では、順を追って解説していきます。
節税が気になりすぎて概要が把握できてない
まずは、節税が気になってしまい不動産投資全体の状態が把握できなくなってしまい
損をしてしまうケースがあるという事があげられます。
日本の中古不動産は
建物よりも土地の価格が高いので、減価償却ができる部分が少ないのですが、
アメリカ不動産は
日本に比べて建物の価格が高いので減価償却ができる部分が大きくなります。
そのため、減価償却の金額は大きいという事は確かなのですが、
一時的な節税というよりよりも
全体を通しての節税や売却後にどれだけ残るのかという事に
目を向けておく事が大切です。
不動産投資全体に目を向ける事で、
出口戦略を見据えた運用方法を何パターンかシミュレーションしておきましょう。
例えば、法人では建物や設備などで減価償却をすると
その分、簿価(帳簿上の価格)が減っていきます。
売却時の利益まで考慮すると、
減価償却をして経費としてどこまでいつ計上した方がいいのかなど、
個人では売却時期をいつにするのかなど、
税金のシミュレーションをして全体でバランスを見ておくがいいのです。
日本とアメリカでの減価償却の違いにも留意が必要です。
減価償却について
融資を受けたが金利が高い
不動産投資では「減価償却」「金利」「固定資産税」などが
キャッシュフローに大きな影響を与えるといわれています。
償却のみにとらわれすぎると、
それ以外の数字や金利を全く気にしなくなってしまったり、
金利が高くても日本の確定申告で節税できると安易に考えてしまいがちです。
しかし、融資の金利が下がると、キャッシュフローが改善されますので
金利のインパクトは大きいといえます。
融資を受けて物件を購入したけれど、
金利が思っていた以上に高かったという声などもお聞きします。
融資の金利はキャッシュフローに大き影響を与えますので、
不動産売却まで考慮して全体で考える事ができると、
この金利が高いのか、それを抑えるにはどうすればいいのかなどの
機転が利くようになっていきます。
例えば、金融機関に金利や借り入れの条件を交渉しようと考えたとします。
節税にとらわれすぎると様々な支出を経費として計上しようと考えますが、
無駄な支出は利益を圧迫したり、
決算書をみた時に信用という観点ではあまり良い影響を与えないといえます。
節税をして税金を少なくするよりも、
利益を出して税金を納めて金融機関に認められた方が、
最終的なお金は残るという事もあり得ますので、
不動産投資全体でみていくという事が大切ではないでしょうか。
税制改正により目的が異なってしまった
そして、償却を目的として不動産を購入したという方の中には、
「税制改正により目的が異なってしまった」
という方も少なからずいらっしゃると思います。
アメリカ不動産投資では、アメリカと日本の両方での確定申告が必要になりますが、
両方で節税を出来ないかと確定申告時の一時的な節税のみにとらわれてしまうようです。
不動産を節税のみの目的で購入された方は、税法のルールが変わってしまいましたので、
売却をしたほうがいいのか、
法人化した方がいいのか、
長期で保有した方がいいのかなど、
お悩みの方もいらっしゃいます。
償却という目的のみにとらわれてしまうと
どのような選択をすべきなのかを見誤ってしまう事があります。
多くの皆さまのアメリカ不動産の確定申告を担当させていただく中で、
「税金が変わってしまった」
「節税目的がなくなってしまった」
などのお声をお聞きする事がありありますので、
しっかりとシミュレーションをして判断する事をおすすめします。
アメリカ不動産の減価償却事例のまとめ
失敗事例や上手くいかなかい事例などは、なかなか質問しにくいとは思いますが、
今後も皆様からのご質問にはお応えしていきたいと思います。
今回は、「償却にとらわれて損をしてしまった事例」というテーマで、
事例として3つご紹介しました。
不動産投資=節税というわけではないので、
不動産投資全体を把握して、利益を出した上で、
税金をコントロールしていくという視点を持つことが重要です。
不動産は現金や株式などと比較すると節税はしやすく、
法人化したりなど合法的に様々な節税できる手段や、
節税ではなくとも収入を上げる事が出来たり、その経験を積む事もできます。
不動産を上手く活用して、節税や資産形成にお役立て頂ければと思います。