前回の、アメリカ不動産!個人から法人へ所有権を移転する際のメリットでは、
アメリカ不動産を個人で所有していて、
オーナーをしている日本法人へ所有権を移転する際の、
『メリット』として手続きや相続についてご紹介しました。
今回は、個人から法人へ所有権を移転する際の『デメリット』をお伝えしていきます。
日米の譲渡税について日米税理士とのすり合わせが必要:ポイント1
不動産を売却したときには譲渡税の処理を行いますので、
日米の税理士とのすり合わせが必要になります。
事前に日本の税理士とアメリカの税理士とで打ち合わせをしたり、
シミュレーションなどにより、実際に日本とアメリカでどれだけ税金がかかり、
どのタイミングで支払っていくべきかなど、日米両方で税金の話のすり合わせをします。
全てを詳細に把握していただく必要はないのですが、
日米の税理士同士が円滑に手続きができるということと、
売る側の譲渡税がどれくらいになるのかなどを事前に計算をしておくことが必要です。
税理士のすり合わせにより二重課税を防ぐことにもつながります。
書類などの手続きが少々煩雑:ポイント2
不動産の所有権移転にともない、書類を揃える必要があります。
売却手続き自体が煩雑だと感じますが、
実際にアメリカの不動産の所有権の移転をするにあたって、
必要書類の取得から最終的な公証までの手続きをしていきます。
たとえば、パスポートの写しや会社の登記簿謄本などを取得したり、
日本の公証役場で交渉手続きをしたりと、
役所関係や公証役場などに出向いていただくこともあります。
あまり平日にお時間を取れないという方は、
計画的に事前に書類の用意をしておくことになると思います。
所有権移転に必要な書類の取得とそれに関わる手続きが少々煩雑になります。
節税だけを目的にすると、また対策を考えなければならない:ポイント3
アメリカ不動産を節税対策ということで検討している方も多いと思います。
実際に短期間で減価償却ができるアメリカ不動産の節税のメリットに惹かれ、
法人所有にしたいと考えている方も増えています。
現状では日本の税制改正により、
個人所有の不動産は減価償却を使った損益通算ができなくなってしまいましたが
法人所有であれば可能です。
ただ、節税目的として個人から法人へ不動産の所有権を移転して、
仮にまた数年後に税制が変わってしまい、
法人所有の場合でも日本側での節税が認められなくなるということも
可能性としてはゼロとはいいきれません。
所有権移転の目的が減価償却による節税だけであれば、
将来的に仮に税制が変わるかもしれないという場合などに、
会社としてどのような対策をとるのかという視点をもって、
長期的な投資戦略の検討をすることが大切です。
大前提として、減価償却による節税だけを目的にすると
また数年後に向けて対策を考えておかなければならないということになります。
まとめ
アメリカ不動産の所有権の移転は、
複数の必要書類を揃えたり税金などでも手間がかかります。
そのために専門家や管理会社などが相談にのってくれます。
- 日米の譲渡税の税務処理が難しいので、日米の税理士のすり合わせが必要
- 所有権移転の手続きに必要な書類を揃えるなどの負担がある
- 目的が一時的な節税だけなら、次の対策も考えておいた方がよい
一般的な不動産投資では、主に以下の3つで利益を出すといわれています。
①インカムゲイン(家賃収入)
②キャピタルゲイン(売却益)
③減価償却などによる損益通算による節税
法人所有になると、一時的な節税だけではなく売却時の出口戦略の検討も必要です。
複数の法人を所有しているケースでの戦略、株式の持ち分や報酬など、
さまざまな対策が考えられると思います。
アメリカ不動産投資を法人で持つ意味やメリットを考えておくようにしましょう。
今後の不動産投資の戦略については、投資家自身で対策を考えたり、
あるいは税理士などの税金の専門家などとも意見を交わしていくことで、
長期的な投資にもつながっていくのではないでしょうか。