アメリカ不動産の税務を行っているフェニックスデールです。
不動産投資では個人から法人へ所有権を移転させる方法がありますが、
活用するには事前の理解が前提となっています。
減価償却を目的とする手法として注目を集めている所有権の移転。
今回は、「個人から法人へ所有権を移転させるときのポイント」
「知っておくとメリットになること」などを解説していきます。
節税目的だと経費倒れする:ポイント1
不動産の所有権の移転を節税目的で行うと、経費倒れになってしまうことがあります。
経費倒れとは利益を得るためにかけた費用が利益の額よりも多くなってしまうことです。
減価償却を多く取れるからということで所有権の移転をしても、
個人から法人へ移転する際の費用もかかりますし、
将来入ってくる賃料よりもかかる経費の方が上回ってしまうこともあります。
節税のみが前提となっていると経費がかかる分、
経費倒れしてしまう可能性があるということを抑えておきましょう。
移転とはいえ譲渡扱い:ポイント2
所有権を移転するというのは、個人から法人への不動産の譲渡にあたります。
移転であっても税務上は譲渡税の手続きは必要です。
つまり、日本でも譲渡になりますし、アメリカでも譲渡になるので
それぞれの国のルールで処理をしていかなければなりません。
日本側では短期譲渡所得にあたるのか、
長期譲渡所得にあたるのか、で税率が変わりますし、
アメリカ側では、
譲渡する金額の15%を一旦、源泉徴収されてしまう
FIRPTA(ファプタ)があるので、
手続きが煩雑になります。
移転する金額は査定する:ポイント3
実際に移転する際には価格を査定をして決めます。
これは、個人から法人へ同一オーナーの会社に移転するといっても、
価格を自由に決めてもよいということにはならないからです。
市場の価格にそった適正価格での譲渡が望ましいのです。
そのため一般的には第三者機関である査定業社などが
譲渡予定である不動産の市場価格を調査したり、
あるいは、不動産検索サイトのZillowなどから、
マーケットバリュー(市場価格)を
ベースに移転する価格を決めるということもできます。
アメリカでは不動産に関する情報が分かりやすく公開されています。
まとめ
今回は個人で所有しているアメリカ不動産の所有権を
会社に移転させる場合のポイントや手順などをご紹介してきました。
・節税目的だと経費倒れしてしまうことがある
・日米それぞれで不動産を譲渡する税法上の処理が必要
・移転を決めたら不動産は適正価格で移転する
個人から法人への移転にご興味がある方のご参考になれば幸いです。
また、個人で不動産を所有している方、
法人で不動産を所有している方はこちらもチェックしておいてください。