アメリカ不動産を購入する時に、
「日本法人とアメリカ法人ではどちらがいいの?」
「確定申告などの手続きが簡単な方がよい」
「税務上や手続き上の違いがよく分からない」
など、いろいろな疑問をお持ちかと思います。

アメリカの不動産投資を法人で検討されている方が、
税務上や手続き上の違いなどを知っておくことは大切です。

今回は日本法人とアメリカ法人、どちらで買うべきかというテーマで、
購入前から売却時までの大きな流れの中で、
判断材料になり得るポイントを中心に解説していきます。

融資が引けるか:ポイント1

不動産を購入するときの大きな問題として、
「融資が引けるか」ということがあります。

融資を引くのか、現金で購入するのかということを考えたり、
融資を引くといっても日本の金融機関で引くのか
アメリカの金融機関から調達するのかなども、
可能性として考えていくことになると思います。

日本の法人とアメリカの法人では果たしてどちらがお得なのかということですが、
日本に居住していて日本の会社でアメリカの不動産を購入する場合には、
圧倒的に日本の金融機関で融資を引くことが多いです

海外で不動産ローンを組む場合の審査の厳しさなどと比較すると、
国内の不動産ローンの方が難易度が低いです。
また、日本とアメリカでローンの性質の違いもあります。

まずは、融資が引けるかというところで、
ご自身の信用やお付き合いのある金融機関などを洗い出してみて融資を引けるか、
金利はどれくらいかなどから検討していくことが大事です。

ランニングコストはどれくらいかかるのか:ポイント2

不動産に詳しい人は
ランニングコストがどれくらいかかるか、ということを常に気にしています
これも大切なポイントです。

日本法人、アメリカ法人では、ランニングコストは違うのか、
というところでいろいろな見方はありますが、
確定申告などの税務コストという面ではあまり変わらないと思います。

アメリカ法人では、アメリカにいる会計士などに依頼がしやすくなるので
場合によっては、コストが抑えられることもあります。

ただ、物件を維持するのは税務コストだけではないので、
トータル的なコストについて考えておく必要があります

一つ補足するとすれば、日本法人で買った場合、
アメリカ側だけではなく日本側でも確定申告をしていくので、
日本側の税理士の費用は当然かかりますし、
場合によっては、日本側の処理について追加費用がかかることもあるので、
その点でランニングコストが少し上がる要素があります。

一方でアメリカ法人では、日本の会社と全く関係のない法人であるため、
そういう意味で日本の税理士は関係なくなるので、
税務の手間は日本法人ほどではないと思います。

売却時の源泉があるか:ポイント3

最後は出口戦略におけるアメリカの税務の話になるのですが、
これはまた別のトピックでお話ししようと思っています。

売却時にFIRPTAという連邦税がかかるのは、
米国非居住者または外国法人が米国内の不動産を売却する場合です

こういったことなどで日本法人でアメリカ不動産を売った場合には、
税金の手間が増えてしまいますので、売却時の税務について考えると、
アメリカ法人の方がいいと考える方もいらっしゃるようです。

現地法人でも源泉された事例や、
日本法人で源泉されたあとになかなか還付がされないなどの事例もありますので、
売却時には、専門家に相談をしておくことが必要と思われます。

まとめ

今回は、アメリカ不動産を日本の法人とアメリカの法人で購入する場合の違いや特徴などをご紹介しました。
まとめると以下のようになります。

日本 アメリカ
①融資が引きやすいか
②ランニングコスト
③売却時の税務

ポイント1つめの「融資が引きやすいか?」というところでは、
日本の会社の方が融資が引きやすいです。

アメリカの会社で融資を引くとなると可能性はゼロではないのですが、
新設会社で代表者が日本居住などの場合には融資が引きにくくなります。

ポイント2つめの「ランニングコスト」というところでは、
日本の税理士が関与する、しないという観点でいうと、
アメリカの方がコストがかからないと思います。

ポイント3つめの「売却時の税務がどちらがシンプルなのか?」
で考えるとアメリカであるといえます。

今日のまとめとして最後にお伝えしたいのは、
アメリカ法人の方が税務や手続き面ではシンプルで、
融資の部分では日本法人が有利ということです。

税務の煩雑さを考えるとアメリカ法人で不動産を持つ方が、
日本法人で持つよりシンプルで手続きが楽、ということもありますが、
まずは日本の税法とアメリカの税法の違いを少しづつ理解しておくようにしましょう。