アメリカの不動産の売却時には、
源泉税が15%引かれてしまうFIRPTAという税法があります。

たとえば3,000万円で不動産を購入し3,000万円で売却する場合、
450万円が源泉徴収されてしまうので、
売却時の出口戦略を考える上でもとても気になるところです。

「売却時に源泉徴収を免除できる方法はないか?」
「源泉税を免除する申請をしたい」
といったお問い合わせは多いのですが、確かにアメリカの税法上、
不動産の売却時に源泉税の納付を免除できるという方法もあります。

しかし、事前に免除してもらう手続きは複雑で、
円滑に進めるためにはチームワークが必要となり、
免除申請をした方がよいのかも含めてハードルが高い手続きといえます。

そこでここではFIRPTAを回避するための免除申請について知っていただくために、
重要なポイントをお伝えしたいと思います。

売却する前に免除申請書類の提出が必要:ポイント1

まず知っておきたいのは、
減免申請書類の作成が必要ですが「売却する前に」作成しなければなりません

不動産の売却を検討する段階から、
FIRPTAの免除申請はできるのか、した方がよいのかなどを
専門家に問い合わせたり確認して進めておくことが大切です。

免除申請の書類を作るには必要な計算などがあり、
これは専門家の力を借りながら、不動産売却日以前に書類を作成して
手続きを終えておく必要があります

不動産販売業者やコンサルタントが手続きを理解していることが必要:ポイント2

更にエージェント、コンサルタント、売主、エスクロー、税理士などの
専門家といった関係者全員が免除申請について理解をしている必要があります

不動産の売買では、売却の手続きをするエージェントや
コンサルタントなどにも依頼をすることがありますが、
減免申請を行う場合もチームワークが重要です

それぞれの役割分担を明確にしながら進めていくので、
エージェントやコンサルタントなどが免除申請についてよく理解していなかったり、
前向きでない場合には手続きが難しくなることがあります。

3か月後に税務署から証明書が届くことを確認:ポイント3

免除申請が無事にできたとしても、
免除されるかどうかの決定までには3か月程かかります

決定すると証明書が発行されるので、売主は証明書の受領の確認をします。

免除申請の手続きが終わり、減免、全免などが決定したら、
税務署より証明書が届きますので、売主は確実に証明書の受領を確認しましょう。

証明書が発行されるといっても、アメリカの税務署からは普通郵便で送付されてきます

普通郵便では追跡番号などがないため、
郵便物の遅延、紛失などによって書類が届かないケースがよくありますので、
送付先をアメリカの住所にするなど、
証明書を確実に受領できるように担保しておくことは重要です

送付先が日本の住所になっている場合には、
特に新型コロナウイルスの影響が出始めてからは、
郵送事情はさらに悪くなっているようです。

まとめ

不動産売却時にFIRPTAを回避するための免除申請をする際は、
売却前に申請書類の提出が必要で、
エージェント、エスクロー、コンサルタント、税理士などの専門家が
手続きを理解していないと申請が難しくなります。

また、申請後には税務署から証明書が届くことを確認しないと、
リスクが大きくなります。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、
しっかりと準備をしておくことが大切です。

前回の「FIRPTA後の還付申請について」も併せてご覧ください。

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アメリカ不動産の売却税務(個人編)

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